20世紀のアイコン「パントン・チェア」を世に送り出し、「ファンタジー・ランドスケープ」で宇宙時代のラウンジ・スペースを提言した異端の北欧デザイナー、ヴェルナー・パントン(1026−1998)。彼の切り開いたリラクゼーションの未来哲学がこめられた150tンにおよぶデザイン作品がいよいよ東京にやってくる!
10月17日より東京オペラシティで開催される『ヴェルナー・パントン展』。Vltra Design Museumによって企画され、東京は山本宇一をアドバイザーに、形見一郎による展示デザインによってパントンの多岐に渡る仕事を紹介する大規模な回顧展です。それに伴いヴェルナー・パントンをおおいに語ろう、山本宇一を編集長にパントン・ニュースが創刊!!

パントン・ニュース創刊 ヴェルナー・パントン展が東京にやってくる!
編集長 山本宇一

飲食を中心とした商業空間のプロデュース、これが僕の仕事です。90年代半ば、いよいよ本格的に船出をするにあたり、最初のお店のアイディアを膨らまそうと昔から大好きだった北欧家具のふるさとを僕は旅しました。そしてコペンハーゲンにあるホテルのエントランスに大量にぶら下がっていたのが、あのスケルトン・ボールの「VP-グローブ」と呼ばれる照明器具がったのです。
その柔らかく暖かい光を放つファンタスティックな佇まい、デザインの斬新さ、洗練、そして未来感。僕はたちまち虜になってしまいました。それまでパントン・チェア以外あまり彼の作品を意識していなかったのですが、この照明器具との出会いでヴェルナー・パントンというデンマーク人デザイナーが僕にとって大きな存在となりました。
フィリップ・スタイルクをはじめ今ではプロダクト&商業空間デザイナーの仕事は花形ですが、椅子、証明、システム家具、オブジェ、デコール、食器、テキスタイル、カラーリングと幅広く、特に飲食主体の商業空間に必要とされるすべてのプロダクツを50年代から手がけてきた彼の先駆的で自分の個性を貫いたダイナミックな仕事の数々は、僕らの崇敬の的でもあったわけです。

僕がプロデュースするお店の暗黙のコンセプトは「ハッピー感」です。パントンのデザインには、色にもフォルムにも単純な機能性やデザイン性超えたなにかがあると思います。しばしばパントン作品はシンプル、ナチュラル、ウッディ、マニファクチュアが基本の北欧デザインの対極にあるように思われがちですが、現物に触れ作品のディテールやカラーリングを目にすれば奇抜という言葉、派手というひとことでは決して片付けられない深さや親しみやすさ、そしてまぎれもない北欧の職人仕事のこだわりが満ちあふれていることがわかります。照明器具を灯せばやはり北欧の長い夜を柔らかく照らす優しさがあり、テキスタイルを手にとれば色彩の繊細さに驚かされます。また椅子やソファには童心をくすぐるようなリラクゼーションに対するこだわりが感じられます。そしてすべてが彼一流のレイドバック・スタイルへと収斂しているのです。それらを総合したパントン空間には彼が生涯追い求めた「ここちよさ」の哲学が詰まっていて、僕のテーマである「ハッピー感」と大いに共鳴するのです。

僕のパントン好きが引き寄せたのでしょうか!?ひょんなことから東京オペラシティアートギャラリーで開催される「ヴェルナー・パントン展」と関わることになりました。スイスにあるヴィトラ・デザイン・ミュージアムによってパッケージされた展覧会ですが、東京展の企画者たちはもっと遊び心を加え、インテリア・デザイナーにとどまらないパントンのイメージ世界が感じられる展覧会に、という熱い希望をもっていました。
僕がお手伝いできそうなのはまさにこの部分。終生よきパートナーであった夫人とともに「ハッピー感」を追求し続けた北欧デザインの異端児パントン。その仕事の素晴らしさ、楽しさを日本のパントン・フリークたちといっしょに展覧会が始まるまでちょっとだけ暖めていこうとおもいついてつくったのがこの「パントン・ニュース」というわけです。